Kyoko Shimbun 2015.11.07 News

【書評】不確定密室殺人事件 [著]南部量子 これは嘘ニュースです

不確定密室殺人事件 [著]南部量子
 ドアも窓もなく誰一人出入りできない、厚さ30センチの鉛の壁で覆われた密室で起こった殺人事件。

 外部から観測不可能な完全密室のため、誰も部屋の中に入ることができず、被害者がどうやって殺されたのか、被害者がどこの誰なのか、そしてそもそも目の前の鉛部屋に死体があるのかすら確定できない、犯罪史上類を見ない困難な殺人事件が大久保警部に降りかかる。

 読者の読み方によって犯人が「AまたはB(単独犯)」、「AかつB(共犯)」、「AでもBでもない(犯人なし)」のいずれにも解釈できる叙述トリックと、圧倒的な描写力で第14回シュレディンガー賞を受賞。

 室内の様子を確かめるため壁を壊そうとする大久保警部に「中を確認しなければ面倒な捜査をしなくて済むんですよ。帰りましょう」と囁く部下・斉藤の警察味あふれるセリフも素晴らしい。
   ◇
 黒猫社文庫・864円

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<BOOK>密室殺人傑作選

 史上初の探偵小説である「モルグ街の殺人」は、密室殺人がテーマだった。以来、本格ミステリの名作を生み続けた“密室”は多くの読者を魅了している。本書では、クリスマスのデパートの盗難予告や殺されたUFO愛好家の部屋の不気味な足跡など、密室犯罪の数数を用意した。これに挑むのは、フェル博士、ブラウン神父、エラリイ・クイーンといった名探偵たちである。基本から応用まで14の密室を収めた垂涎のアンソロジー。

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