Kyoko Shimbun 2020.10.28 News

テレワーク用に独房貸し出し 東京・小伝馬拘置所 これは嘘ニュースです

小伝馬拘置所の単独室
 小伝馬拘置所(東京都中央区)は所内の単独室(独居房)をリモートワーク用に貸し出すサービスを20日から開始した。「行き届いた生活管理と整然とした個室で作業に集中できる」と利用者に好評だ。

 貸し出される単独室は広さ約4畳でトイレを備える。朝昼夕の3食付きで、連泊で利用する場合は刑務官が起床から就寝まで1秒の遅れもなくスケジュール管理してくれる。また、氏名ではなく番号で呼ぶ無料のオプションサービスもあり、プライバシーへの配慮も万全だ。「自己管理がおろそかになりがちな在宅勤務より仕事がはかどる」と利用者からの評判も高い。

 コロナ禍によって出控えムードが高まった影響で、来場者が激減したテーマパークの中には、休暇とリモートワークを同時に楽しめる「ワーケーション」を提供する施設が増えつつあるが、小伝馬拘置所が単独室貸し出しに踏み切ったのも同様の背景がある。

 今年は外出自粛によって、空き巣などの犯罪件数が減ったことから、拘置所の入居率が低下。このまま犯罪発生率が低迷すれば、拘置所の統合や廃止を余儀なくされる。刑法改正と厳罰化によって刑法犯を増やして入居率を上げる方法も検討したが、当面はリモートワーク用に貸し出して、入居実績を増やすことで現在の規模を維持する方向に落ち着いた。「豪腕経営、コストカッターで知られたあの元会長も100日以上滞在したほど。ビジネスパーソンにはうってつけの作業環境です」と担当者は胸を張る。

 3日前から単独室を利用しているシステムエンジニアの男性(25)は「規則正しい生活と栄養管理された食事のおかげで、会社に通っていたときよりむしろ健康的に仕事ができています。拘置所にいる方が人間らしい生活ができるとは意外でした」と満足そうだった。

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<BOOK>監獄の誕生 : 監視と処罰

 十字架刑や絞首刑のような見せしめをともなう残酷な刑罰は18世紀の末に終わった。以後、囚人や犯罪者は監獄に収容して矯正し、社会復帰させるものという認識がはじまる。肉体の刑から魂を罰する刑への移行である。国家権力はどのようにして監獄を管理するに至ったか。フーコーのいう「監獄」とは犯罪者を収容する場所にとどまらず、孤児院、感化院、施療院、さらには学校、軍隊、病院にも及ぶ。人間の意志や多様性を統御し、国家の機構に組みこむ、監視と処罰による権力のメカニズムを探求する画期的思想書。

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