「掃除当番廃止」が残した遺産 マキャベリ中生徒会長選を振り返る これは嘘ニュースです
火山灰のようにほこりが積もる廊下
校舎に入ってまず驚かされるのは校内のいたるところに散乱するゴミ。1年半の間にたまったほこりが火山灰のように舞い、息をするのもやっとだ。
前会長の獅子谷さんが会長選で掲げた公約は「校舎のほこりは心の汚れ」。生徒の負担を減らすため、掃除当番の廃止と清掃業者への委託を唱えて当選した。
委託費の財源は、理科準備室に保管されている元素標本。高騰している金や銀の売却益を「理科室の埋蔵金」として当て込んでいた。しかし当選後に準備室を確かめたところ、標本に入っていたのはアルミニウムや銅など卑金属のみだった。
目論見が外れた前会長は「校舎のほこりは成長の誇り」と主張を一転。委託問題を棚上げにしたまま、「学校改革」を旗印に新しい政策を次々と打ち出した。生徒会の予算編成権を利用して、美化委員会など8つある専門委員会を2つに削減。また、人気のない教師を投票で追放する制度を設け、在任中に15人の教師を解任した。進学に伴う任期切れで実現しなかったが、市内にある緑島中学校の併合にも野心を見せていた。
前会長の人柄をよく知る君島主税校長は「『目的達成のために手段を選ばない』という校是をよく理解していた。将来は立派な政治家になれると思います」と目を細める。
獅子谷会長の後任を争う昨年の会長選では、立候補者5人中4人が「修学旅行積立金の負担軽減」を公約に掲げた。主張に大きな隔たりがなかったことから、選挙期間中、候補者間で「修学旅行無料」「修学旅行廃止」など、激しい公約の上乗せが続いた。
当選したのは「修学旅行を無料にした上で、積立金と同額をおみやげ代として支給」を掲げて支持を集めた現会長の狐塚さん。財源は生徒会を発行体とする債券「マキャベリ中学債」を新規発行してあてる予定だという。
「俗にいう『公約は破るためにある』を地でいく素晴らしい選挙戦でした。彼女も将来有望です」と、君島校長は選挙戦を振り返る。
ただ一人「掃除当番の復活」を掲げた生徒は最下位で落選。獅子谷前会長が残したレガシーは校舎内の風景だけでなく、生徒一人一人の心の中にも強く受け継がれているようだ。
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