Kyoko Shimbun 2022.02.12 News

投票用紙に陶片採用 「一票の重み」解消目指す これは嘘ニュースです

オストラシズムに使用された陶片
 小選挙区の「一票の格差」の是正について審議する票格差是正委員会は11日、人口増などによって一票の重みが小さくなった選挙区での投票に陶片を使用すると発表した。投票用紙の重量比を変えることで、現行の区割りを変えることなく格差をなくすことができるとしている。

 1人の議員を決めるのに必要な有権者数は選挙区ごとに異なるため、有権者1人当たりの「重み」には差がある。昨年10月に行われた衆院選では、東京13区と鳥取1区で一票の重みに2.09倍の差が出た。このような格差は、憲法14条に定める「法の下の平等」に反するとして、最高裁ではこれまで2倍を越えた場合に「違憲状態」とする判断を示してきた。

 委員会では、鳥取など有権者が少ない選挙区の投票用紙をわら半紙にして一票の価値を下げる案が浮上したが、前例がないことを理由に見送り。「一票の価値」ではなく「一票の重み」の是正に焦点を絞り、一票が軽い東京と神奈川で投票用紙を陶片に変更することを決めた。

 過去、投票に陶片を採用した例としては、古代ギリシャの都市国家アテネがある。約2500年前のアテネでは、独裁者になりそうな人物の名前を陶片に記して投票し、国外に追放する制度「オストラシズム(陶片追放)」が行われた。オンライン投票の是非が議論される中、今回の陶片採用は、民主主義の原点に立ち戻った結果とも言えそうだ。

 選挙制度について詳しい政治学者の坂本義太夫さんは「今の時世を鑑みれば、陶片だけでなく、陶片追放の制度も採用するべきだろう」と話す。

Feature image: Wikipedia

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